遅筆の感想文

見たもの感じたことのアウトプットの場

日本版『ミス・サイゴン』初見感想

ロンドン版の25周年公演は映像で見たことあったんだけど、日本版を見てかなり印象が違ったのと初見時の感想残しておきたいなーってので久しぶりにまとめます。
壁打ちした感想とかをつぎはぎしてるから、文章にまとまりはない。
自分用の備忘録です。
もう1回観劇したあと結構感想・印象変わってしまったので公開するか迷ったのですが、せっかくなので初見の印象を残しておこうと思います。
観劇後の脳直感想をまとめただけなので、まとまりはないです。。

<見た公演>
2022年8月7日(日)マチネ おけぴ貸切公演
エンジニア:伊礼彼方
キム:屋比久知奈
クリス:海宝直人
ジョン:上原理生
エレン:知念里奈
トゥイ:西川大貴
ジジ:青山郁代
タム:前田桜来
※敬称略

本当は全キャスト見たかったけどお金の都合上キムとクリスの組み合わせで2公演!と決めて取りました。
どうしても屋比久キム海宝クリスで見たかった…。
昆ちゃんと小野田くんも絶対見たかったのでその二人の組み合わせで8月後半に取った(幕上がってくれ)(※追記:無事見れました)
そしてロンドン版のホン・グァンホさんのトゥイが好きすぎるので日本版もW両方見たい!と思い、西川くんと神田さん両方見れるように取りました。(※追記:神田さんは残念ながら休演で見れませんでした…)
ちなみに一階席後方だったのにオペラグラス忘れたので細かい表情はあんまり見えてません。

★ストーリー知ってたはずなのに新鮮に落ち込んだ…

前述した通り5.6年前に立川の極音上映でロンドン版上演した時に初見で見て、そのあともアマプラとかWOWOWとかで見て合計3回くらい見てたからストーリーは知ってたはずなのに幕降りた瞬間椅子に押しつけられるような感覚になるくらいめちゃくちゃ落ち込んだ…。
見た回がおけぴ貸切公演だったからスペシャルカテコがあったんだけど、あれなかったら死んでた。
お茶目なカテコに助けられた…。
バッドエンドなのは知ってたけど、本来なら守られるべき存在の子供が精神的支柱を失い追い詰められて命をたつ選択肢しか見えなくなってしまった感と、キムが死んだことを悟りエンジニアが膝をついて幕が降りるというあまりにもあんまりなバッドエンドさ…。
唯一の救いはエレンがタムを抱き上げたことかな。これがあったからタムは引き取ってもらえそうという一縷の希望があった。唯一ね…。
SNSとかでよく「伊礼エンジニアはしぶとくアメリカ行けそう!」って感想よく見たし、まあまだ若いしそのしぶとそうな感じ分かるんだけど、最後の望み!みたいな感じでキムとタムに希望を見出してて、♪アメリカンドリームがとても良かったばかりに逆にあんなに夢見てたアメリカ行きが断たれたっていう絶望感があったんだよね。
だからキムが命を絶ってしまったつらさとエンジニアの夢が断たれたつらさがダブルできて本当に落ち込んだ。
(クリスも自分のあげた銃で自殺されちゃってしんどいなって後から思った)

★戦争に人生をめちゃくちゃにされた人たち

今回見ていて、屋比久キムも海宝クリスも「子供じゃん…」って思ったんだよね。
キムは最初17歳だよね?クリスの年齢設定わからないけど、海宝クリスは20代前半くらいかなって感じた。
キムよりは年上だけど、クリス自身も普通に若い、みたいな。
だからかもしれないけど、よりみんな戦争の被害者なんだなっていうのが強く感じられて、どうしようもない気持ちになった…。

1幕序盤から、海宝クリスはなんか諦めと怒りで投げやりになってる感じ?がした。
♪神よ何故とか見てて痛々しくなるくらい…痛々しいって表現が合ってるのか分からないけど…見ててつらかった。
屋比久キムもタムができたことでクリスに縋るしかないというかもうそこに生きる希望を持つことしかできないって感じ。
心に傷を負った2人が出会ってお互いに生きる希望を見出したというか、2人はちゃんとお互いを好きだったんだろうけど、なんていうのかな…ロマンチック〜な感じの恋愛じゃなかったというか…。
色んなコンサートで聴いてた♪世界が終わる夜のようにとかから想像してたのと違ったって感じかな。

ロンドン版見た時に「クリスお前〜〜」って思ったはずなんだけど今回はそう思えなかった…というか、ここで通えるアメリカンスクール!とかはお前〜〜ってなるんだけど、エレンへのベトナムで何があったかの告白が壮絶すぎてクリスも戦争の被害者のうちの一人なんだよなって一概にに責められなかった。(もちろん加害者でもあるが)
ベトナムでの悪夢のことを忘れて新しい人生を歩みたいっていうクリスの気持ちもわかるけど、それは今も進行形で苦しんでるキムのことを見捨てることになるんだよな…。
あの時のクリスがただ金で娼婦買っただけだったならクリスクソじゃん!で済むんだけどさぁ…。
あの時抱えていた虚しさを埋めて生きる希望をキムに見出して、本気でアメリカに連れて行こうとしてたことは本当だもんな…。

エレンもつらいよな。自分がエレンだったら戦争してた国の現地の知らん女との間にできた子供を引き取るのってそんな簡単に決断できないよな…って考えちゃう。
現実に起こっていることなんだと思うとほんとキツい。

戦争って本当に市民の人生も命も精神もめちゃくちゃにするんだな…

★トゥイってキムのこと好きなの…?

ロンドン版見てたからかクリスとキムとトゥイってわりと三角関係的なイメージがあったんだけど、今回見てトゥイって本当にキムのこと好きなのかな…?って思ってしまった。
親の約束と敵への怒りと幼馴染への情だけはああは出来ないだろうからまあ好きだったのか…とは思うけど、なんか想像と違ったというか。
好意はあるんだろうけど、親との約束(=伝統?)を守ろうという義務感…?が強い感じ?
親とか国とか伝統に重点がある感じ?かなぁ…。
でも西川くんのトゥイすごく良かった。
細かい表情見たかったな〜
またそれで解釈変わりそう。(※追記:細かい表情見て解釈変わりました)
見終わってしばらくトゥイのことばっか考えちゃった。

おけぴ観劇会マップの西川くんのコメント。

トゥイは演出次第で悪人風にも善人風にもなると思うのですが、果たして彼は本当にキムを愛していたのかどうかという問題。演出のJPから言われてとてもしっくり来た言葉があります。「彼はキムを愛していると思い込み過ぎたんだと思う」さて、皆様にはどう見えましたでしょうか。

終演度に読んでかなりしっくり来た。

★キャスト印象覚書

  • 屋比久キム

すっごく少女で幼かった。まだ大人が守ってあげなきゃいけない子供なのに…って辛さが際立った。
エレンがクリスの妻と聞いて体の力が抜けてぺたんって椅子に座り込むところが印象に残っていて、クリスが生きて迎えに来てくれることだけを希望に生きていたのにその希望すらフッと絶たれたっていうのがすごく伝わってきた。

  • 海宝クリス

最初からかなり荒れてるというか病んでるというか、虚しさが諦観ではなく怒りに振れてた。
投げやりになってる感じがして、♪神よ、なぜ?とか痛々しくて見てて辛かった。
海宝クリス自身もかなり若く感じた。キムよりは年上だけど、ハタチそこそこみたいな。20代前半って感じ。
エレンにベトナムでの出来事を吐露するところが壮絶すぎて、クリスを一概に責められない…と思ってしまった。

  • 伊礼エンジニア

娼婦に対するあたりが強くて怖かった。
「好きで混血やってるんじゃない」の言葉が重すぎて……エンジニアの過去の境遇が少し垣間見えた気がした。
♪生き延びたけりゃもアメリカンドリームも凄くよかっただけに、ラストでキムが自殺したと悟りエンジニアの夢も絶たれ膝を付くのが心にきた…。

  • 西川トゥイ

キムのこと好きってよりは執着…のように感じた。
親が決めた約束だから、キムと結婚「しなければならない」という家の縛りが強い感じ。
とにかく怖かった。圧がすごい。

8月後半にキャスト違いで2回目見て、結構印象が変わったからそれもまとめられたらいいな……