遅筆の感想文

見たもの感じたことのアウトプットの場

日本版『ミス・サイゴン』初見感想

ロンドン版の25周年公演は映像で見たことあったんだけど、日本版を見てかなり印象が違ったのと初見時の感想残しておきたいなーってので久しぶりにまとめます。
壁打ちした感想とかをつぎはぎしてるから、文章にまとまりはない。
自分用の備忘録です。
もう1回観劇したあと結構感想・印象変わってしまったので公開するか迷ったのですが、せっかくなので初見の印象を残しておこうと思います。
観劇後の脳直感想をまとめただけなので、まとまりはないです。。

<見た公演>
2022年8月7日(日)マチネ おけぴ貸切公演
エンジニア:伊礼彼方
キム:屋比久知奈
クリス:海宝直人
ジョン:上原理生
エレン:知念里奈
トゥイ:西川大貴
ジジ:青山郁代
タム:前田桜来
※敬称略

本当は全キャスト見たかったけどお金の都合上キムとクリスの組み合わせで2公演!と決めて取りました。
どうしても屋比久キム海宝クリスで見たかった…。
昆ちゃんと小野田くんも絶対見たかったのでその二人の組み合わせで8月後半に取った(幕上がってくれ)(※追記:無事見れました)
そしてロンドン版のホン・グァンホさんのトゥイが好きすぎるので日本版もW両方見たい!と思い、西川くんと神田さん両方見れるように取りました。(※追記:神田さんは残念ながら休演で見れませんでした…)
ちなみに一階席後方だったのにオペラグラス忘れたので細かい表情はあんまり見えてません。

★ストーリー知ってたはずなのに新鮮に落ち込んだ…

前述した通り5.6年前に立川の極音上映でロンドン版上演した時に初見で見て、そのあともアマプラとかWOWOWとかで見て合計3回くらい見てたからストーリーは知ってたはずなのに幕降りた瞬間椅子に押しつけられるような感覚になるくらいめちゃくちゃ落ち込んだ…。
見た回がおけぴ貸切公演だったからスペシャルカテコがあったんだけど、あれなかったら死んでた。
お茶目なカテコに助けられた…。
バッドエンドなのは知ってたけど、本来なら守られるべき存在の子供が精神的支柱を失い追い詰められて命をたつ選択肢しか見えなくなってしまった感と、キムが死んだことを悟りエンジニアが膝をついて幕が降りるというあまりにもあんまりなバッドエンドさ…。
唯一の救いはエレンがタムを抱き上げたことかな。これがあったからタムは引き取ってもらえそうという一縷の希望があった。唯一ね…。
SNSとかでよく「伊礼エンジニアはしぶとくアメリカ行けそう!」って感想よく見たし、まあまだ若いしそのしぶとそうな感じ分かるんだけど、最後の望み!みたいな感じでキムとタムに希望を見出してて、♪アメリカンドリームがとても良かったばかりに逆にあんなに夢見てたアメリカ行きが断たれたっていう絶望感があったんだよね。
だからキムが命を絶ってしまったつらさとエンジニアの夢が断たれたつらさがダブルできて本当に落ち込んだ。
(クリスも自分のあげた銃で自殺されちゃってしんどいなって後から思った)

★戦争に人生をめちゃくちゃにされた人たち

今回見ていて、屋比久キムも海宝クリスも「子供じゃん…」って思ったんだよね。
キムは最初17歳だよね?クリスの年齢設定わからないけど、海宝クリスは20代前半くらいかなって感じた。
キムよりは年上だけど、クリス自身も普通に若い、みたいな。
だからかもしれないけど、よりみんな戦争の被害者なんだなっていうのが強く感じられて、どうしようもない気持ちになった…。

1幕序盤から、海宝クリスはなんか諦めと怒りで投げやりになってる感じ?がした。
♪神よ何故とか見てて痛々しくなるくらい…痛々しいって表現が合ってるのか分からないけど…見ててつらかった。
屋比久キムもタムができたことでクリスに縋るしかないというかもうそこに生きる希望を持つことしかできないって感じ。
心に傷を負った2人が出会ってお互いに生きる希望を見出したというか、2人はちゃんとお互いを好きだったんだろうけど、なんていうのかな…ロマンチック〜な感じの恋愛じゃなかったというか…。
色んなコンサートで聴いてた♪世界が終わる夜のようにとかから想像してたのと違ったって感じかな。

ロンドン版見た時に「クリスお前〜〜」って思ったはずなんだけど今回はそう思えなかった…というか、ここで通えるアメリカンスクール!とかはお前〜〜ってなるんだけど、エレンへのベトナムで何があったかの告白が壮絶すぎてクリスも戦争の被害者のうちの一人なんだよなって一概にに責められなかった。(もちろん加害者でもあるが)
ベトナムでの悪夢のことを忘れて新しい人生を歩みたいっていうクリスの気持ちもわかるけど、それは今も進行形で苦しんでるキムのことを見捨てることになるんだよな…。
あの時のクリスがただ金で娼婦買っただけだったならクリスクソじゃん!で済むんだけどさぁ…。
あの時抱えていた虚しさを埋めて生きる希望をキムに見出して、本気でアメリカに連れて行こうとしてたことは本当だもんな…。

エレンもつらいよな。自分がエレンだったら戦争してた国の現地の知らん女との間にできた子供を引き取るのってそんな簡単に決断できないよな…って考えちゃう。
現実に起こっていることなんだと思うとほんとキツい。

戦争って本当に市民の人生も命も精神もめちゃくちゃにするんだな…

★トゥイってキムのこと好きなの…?

ロンドン版見てたからかクリスとキムとトゥイってわりと三角関係的なイメージがあったんだけど、今回見てトゥイって本当にキムのこと好きなのかな…?って思ってしまった。
親の約束と敵への怒りと幼馴染への情だけはああは出来ないだろうからまあ好きだったのか…とは思うけど、なんか想像と違ったというか。
好意はあるんだろうけど、親との約束(=伝統?)を守ろうという義務感…?が強い感じ?
親とか国とか伝統に重点がある感じ?かなぁ…。
でも西川くんのトゥイすごく良かった。
細かい表情見たかったな〜
またそれで解釈変わりそう。(※追記:細かい表情見て解釈変わりました)
見終わってしばらくトゥイのことばっか考えちゃった。

おけぴ観劇会マップの西川くんのコメント。

トゥイは演出次第で悪人風にも善人風にもなると思うのですが、果たして彼は本当にキムを愛していたのかどうかという問題。演出のJPから言われてとてもしっくり来た言葉があります。「彼はキムを愛していると思い込み過ぎたんだと思う」さて、皆様にはどう見えましたでしょうか。

終演度に読んでかなりしっくり来た。

★キャスト印象覚書

  • 屋比久キム

すっごく少女で幼かった。まだ大人が守ってあげなきゃいけない子供なのに…って辛さが際立った。
エレンがクリスの妻と聞いて体の力が抜けてぺたんって椅子に座り込むところが印象に残っていて、クリスが生きて迎えに来てくれることだけを希望に生きていたのにその希望すらフッと絶たれたっていうのがすごく伝わってきた。

  • 海宝クリス

最初からかなり荒れてるというか病んでるというか、虚しさが諦観ではなく怒りに振れてた。
投げやりになってる感じがして、♪神よ、なぜ?とか痛々しくて見てて辛かった。
海宝クリス自身もかなり若く感じた。キムよりは年上だけど、ハタチそこそこみたいな。20代前半って感じ。
エレンにベトナムでの出来事を吐露するところが壮絶すぎて、クリスを一概に責められない…と思ってしまった。

  • 伊礼エンジニア

娼婦に対するあたりが強くて怖かった。
「好きで混血やってるんじゃない」の言葉が重すぎて……エンジニアの過去の境遇が少し垣間見えた気がした。
♪生き延びたけりゃもアメリカンドリームも凄くよかっただけに、ラストでキムが自殺したと悟りエンジニアの夢も絶たれ膝を付くのが心にきた…。

  • 西川トゥイ

キムのこと好きってよりは執着…のように感じた。
親が決めた約束だから、キムと結婚「しなければならない」という家の縛りが強い感じ。
とにかく怖かった。圧がすごい。

8月後半にキャスト違いで2回目見て、結構印象が変わったからそれもまとめられたらいいな……

征服欲と執着の行き着く果て。ミュージカル『スリルミー』(成河福士ペア)感想

このご時世でも人気演目×200台キャパ劇場はチケ難公演になるもので。なんとか東京公演3ペア1回ずつと愛知公演成福1公演のチケットが確保でき、なんとかすべて見に行けたので久々にブログ書こうかなと。(配信は時間の都合で成福とにろまり見ました。松山もう一回見たかった…)。東京公演はわりと遠い記憶で当時の覚書しかないので記憶が捏造されてる可能性はある。幻覚強め。

 

ミュージカル『スリル・ミー』

・キャスト

田代万里生(私役)×新納慎也(彼役)/
成河(私役)×福士誠治(彼役)/
松岡広大(私役)×山崎大輝(彼役)

ピアニスト:朴勝哲 落合崇史 篠塚祐伴

・スタッフ

原作・脚本・音楽:Stephen Dolginoff
翻訳・訳詞:松田直行
演出:栗山民也

音楽監督:落合崇史      
美術:伊藤雅子
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一      
衣裳:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
歌唱指導:伊藤和美     
振付:田井中智子      
演出助手:坪井彰宏/田中麻衣子
舞台監督:田中伸幸/松井啓悟

 

前提に、スリルミーは2018年公演の成河・福士ペアが初見でした。当時はあまりの緊迫感に集中しすぎたのか息を止めがちだったみたいで、終演後立ち上がった瞬間酸欠でふらふらになった思い出。当時の皆さんと同じように戦慄の成福ペアにてスリルミーデビューでした。そのあと柿松を見てその違いに愕然。そこで気付いちゃったんですよね、この演目は特に、ペアごとに全然違うって。

 

◆成河「私」×福士「彼」ペア所感

東京公演序盤、圧倒的パワーゲーム感があった。マウント合戦。彼は私の“欲しい言葉”を言って、私は彼の“嫌な言葉”を言って、気を引いて優位に立つ。相手を反応させるワードをかぎかっこ付けてるかのように強調して言うのが印象的だった。「弟」「デート」「裏切り」「レイ」とか。とにかくお互いが相手よりも優位に立つためにマウントを取り合ってるという感じがした。優位に立って、自分の思い通りにしたいという一種の征服欲のようなものなのかな。そんなものを感じた。そして成河私の何が何でも彼を自分のものにするという執着のようなものも凄くて、タイトルにもつけたけど、成福ペアは征服欲と執着の行き着く果てという感じだったなぁ。

福士彼は相変わらず私のことガン無視で自分の話したいことだけしゃべって俺様な感じだけど、前回よりはちゃんとコミュニケーション取れてると言うか、人間だった。スリーピーススーツが本当に美しい。立ってるだけで美。ほんとスリルミーの福士誠治のビジュアルなんなん?タバコに火つけるだけでかっこいい。本当にあの福士彼の美しさは何なのか、2018年から未だに答えが見つからない。とにかく一挙一動いちいちかっこよく美しいんだよなぁ。これは「みんな彼に夢中」だし「友達がたくさんいる」彼だわ。女の子はもちろん同性にも好かれそう。

そしてキスについて。コロナだからどうなるかと思ってたけど、私のこと振り向かせ様に軽く押し付けるようなキスして私が固まったら手を頬に添えて角度変えて3、4回深いキスして、私が乗ってきて手を添えようとしたらパッと離れちゃう。私はここの福士彼のキスのこと少女漫画って呼んでる。配信では顔離した後の、成河私の肩越しに見る「これで満足だろ?」って顔が抜かれてて素晴らしかった。「これで満足だろ?」ってセリフ言う前から「これで満足だろ?」って顔してるんだわ。見下すように顎を上げた角度が多かった福士彼。冷たいとこがまた彼の魅力を助長させてる気がする。

成河私も前回より人間になってた。いやもちろん怖いんだけど(眼鏡がこんなに早く見つかるとは驚きましたのニチャアて笑顔はマジで夢に出るレベル)。2018年は迷わずあのラストへ突き進んだ感あったけど、今回は「彼と一緒にいる」という目的に向かってその場その場で策を打っていたように感じた。彼がことごとく悪い方向に向かう選択肢選んじゃうから…。二人とも絞首刑になるっていう最悪のケースは逃れられたけど、覚悟をしてたとは思うんだよね。それがあの涙を浮かべた笑みでの「君と一緒に死ねるならそれも本望だ」なのかなって。普通の人間は死にたくないはずなんだけど、その死さえも「彼と一緒なら」という条件付きではあるけど受け入れてしまう成河私はやっぱり超人になったんだな。

『超人』で2018年は子供殺した後気が動転して大パニック✩︎舞台装置の隙間に入り込んでぴえんぴえん怯えまくって大暴走だったのに、今回はもう呆然と言った感じで心ここに在らずだった。(彼だけめちゃくちゃ興奮してて楽しそうだった。)だんだん自分のやったことを分かってきて、彼に血に染まったロープ投げられて怯えて瓶を持つ手が震えてくるっていうのが良かった。

二人とも歌は限りなくセリフに近くて、でも歌い上げるところ、例えば『やさしい炎』とかはちゃんと歌い上げて、本当にめちゃくちゃ良かった。ぽろっと口から溢れる言葉とかを歌で表現すると、ザ・歌って感じじゃなくなっちゃうんだけど、でもちゃんと演技として成立してるから集中力が途切れないと言うか。(突然音外されると我に帰る的なアレはなかった)。『僕の眼鏡』でのパニックになる演技(歌)もすごい。歌なんだけどメロディ通りとオクターブ上げが混ざってそれがすごくパニック感あって、でもちゃんと歌としても成立してて、でもセリフで…もうなんかまじすごいなって。表現力、何?好きじゃん…。そしてやっぱり二人の声の相性がよすぎる。なんでCD出さないんですか?『やさしい炎』の一拍おいてからの「赤く、赤く〜」がぴったりすぎて凄かった。あと基本的にこのナンバーの声の重なり具合、深くて低めの福士彼の歌声と高く鋭い成河私の歌声のハモリが本当に相性良くて……好き。『脅迫状』のピッタリそろったユニゾン(?)もほんと好き。なんであんなにピッタリ合うんだろう。

これは愛知公演見て思ったんだけど、『やさしい炎』で前に出てきて歌うところ、後ろから抱きしめられて自らを抱きしめる→鳥のように羽ばたくところで初めて、“抑圧からの解放”を感じた。あの炎を見てる時だけは、スリルを感じてる時だけは、“社会”から自由になってる、だからスリルを追い続けてしまう、みたいな。

『僕と組んで』の彼、これまで通り私が反応するであろうワード(「レイ」とか助けてくれとか必要とか)を散りばめながら話を進めていくんだけど、全く目が合わなくてちょっと焦って近づいたりする。それでやっと目があったら得意げに?満足げにまたワードを並べ立てるんだけどプイッて顔そらされちゃってえっ!てなる。わざわざ回り込んで必死にすがってキスもして…っていうのが、彼も「ゲーム」をしていたんだなってなんか実感した。ここの彼の必死感。この時点で成河私、勝利だよなぁ…。そのあとの成河私の「分かったよ 何でもしてあげるね」の表情、あれなに?毎回あの表情と声に感情ぐちゃぐちゃにされたんだけど、この気持ちが何なのか未だに解釈できない…。

私の「ゲーム」感を特に実感したのはネタバラシ後。福士彼の「だがこれから君は孤独だ一人」にも全く動じず笑みを浮かべながら首を振って「いや離れられない」、変だよ青ざめて〜で彼を階段へ追いやった?あと正面向いて完全に勝利の笑みを浮かべていた。あれは勝利顔。彼を自分のものにできてご満悦。これは愛知公演。ちなみに配信を見た後のメモには、「死刑になってたら?」「一緒に死ねるならそれも悪くない」のところの表情。めっちゃ笑ってるんだけど目に涙が溜まってて泣いてて、なんか(あ、いっちゃってんな)って思った。人間やめた的な意味で。彼の「狂ったのか?」もあながち間違えじゃないのかも。と残されていた。

 

◆成福ペアのみのセリフについて

私が分かった範囲では二箇所別のペアとセリフが違う箇所があった。

一つ目は『計画』の「あいつ殺せば」「親は悲しむ」が「あいつ殺せば」「君は罪人」の箇所。このスタンダードな方のセリフ(歌詞)は、彼の意識している親=父親を出すことによって、そんなことしたら父親に認められることは万が一にもなくなっちゃうよってことを示唆してるのかなって思うんだけど、それを自分が罪を負うことになるよって言う方向に変更したのは福士彼が“父親に”認められる(愛をもらう)ことよりも“自分が”認められることの比重が大きかったからかな…?と今思いついた(半日このことについて考えてたけど結論出なかったから勢い)。新納彼は「この街破壊してやる!」とか「社会が許さないことをやってのけてこそ超人(大意)」ってところに比重があったと思ったから…。成河私は必死で彼を止めるために彼に刺さりそうな(彼が納得しそうな)言葉を選びそうなので。まあ結果殺人路線は変更できなかったんだけどね。文章書きながらこの説が論理破綻してることに気付いたから次に行きます。

二つ目は、細かいところ違うかもだけど「怖いのか?」と彼が煽るところが「僕を怖がらせたいの?」「それが欲しいんだろ?ん?」のところ。セリフ細かいところ多分違います。これは成福ペアのスリル追求度の高さを表現するためかな〜と。それか、ここの彼の「ん?」の破壊力が最強クラスなので彼の魅力を見せつけてきただけかもしれん(違います)。福士彼、結構「ん?」って表情するけどもれなくどれも破壊力が高い。ありがとうございます。

 

◆他ペアとの違い

・殺人を計画する彼に対する私

万里生私は、新納彼の「思いつき」に対してかなり早い段階(殺人ってワード出てすぐ)で深刻に受け止めて止めに入ってた。成河私は、はいはい…って感じで軽く受け流してたら福士彼がどんどん熱くなっていっちゃって、本気だって気付いた時にはもう遅くて必死に説得するけど殺人をやめさせるまでには至らなかったって感じ

・血のサイン

『契約書』で血でサインする時に彼の指の血ぬぐうの成福だけだった…当然のように指を差し出す福士彼と当然のようにハンカチで血をぬぐう成河私…。ここのシーン地味に好きだから、他のペア見た時彼は血拭かなくて大丈夫?!血で汚れちゃうよ?!って思ってしまった。

・「お前がいなきゃ、ダメなんだ」

新納彼の「お前がいなきゃダメなんだ」はわりと本心のように聞こえた。新納彼はさ、万里生私のこと必要としてるよね。万里生私といる時は自分らしくいられるとかじゃないかなぁ…。万里生私を抱きしめる時とかも頭に頬を寄せたり首元に顔を埋めたり、大切にしてる感があった。福士彼は成河私のこと試すような顔してかぎかっこつけて棒読みしてるよね。まあ棒読みでもいいから福士彼にお前がいなきゃダメなんだって言われたさはある。

・私のインキャ感

松岡私は周りにいじめられるタイプの頭のいい優秀なインキャだった。成河私は距離置かれて孤立するタイプの優秀なオタク。万里生私はね、インキャじゃない!優等生。

・彼のカリスマ性

山崎彼メンヘラに好かれそう。そして上手く扱えなくって執着されそう。福士彼とか新納彼はメンヘラな女の子も上手くいなせる。新納彼は同性の信奉者が多そう。福士彼は男女同じくらい周りにいそう。山崎彼は女の子に囲まれてそう。

 

◆他ペア所感

・にろまりペア

愛じゃん。どうしてこうなってしまったんだと頭を抱えた。スリルミーを見て初めて涙こぼれた。グッと怒りを抑えて目に涙を溜めて「どうせ弟の誕生日だろ」っていう新納彼が刺さっちゃった。仮面が厚いなって。仮面を外せるの、私の前だけだったんだなって感じだったから、彼も私のことを必要としてたよね。それでも完全に自分のものにならなきゃ嫌だったのかな、私は。選択肢次第ではあの結末は避けられたのではと思わされる。新納彼、友達多いけど孤独そう。何でも持ってるけど、本当に欲しいものは持ってない。彼が私のこと必要としてる感じだったけど見捨てようとしたのは、彼の中での死の恐怖が上回ったからで、だから「一緒に死ねるならそれも悪くない」って答えた私は彼の考える常識を上回った、だから超人として認めた。あの負けたよ、と言った笑みはそういうことなんじゃないかなと思った。あのネタばらしシーンで考え込んだ後笑ったのかなり印象的だった。福士彼はドン引きでもはや恐怖すら感じてるまであったから…。

ねえ、新納彼のキスの仕方何???不意打ちしてから少し顔離して、「あ」の口作って口開けろって促してた。何あれ?!強すぎる……。血の契約の時の挑発するように万里生私の顔を見ながら指先を切る新納彼もセクシーですね…。セクシーといえば万里生私のサスペンダー。なに?あの肩入れたサスペンダーの脱ぎ方…あれは…だめですよ。

『スポーツカー』の誘拐時ボロが出てない選手権あったら多分新納彼が優勝。福士彼も爽やかお兄さんなんだけど、新納彼はほんとボロが出てないんだよ。冒頭の公園での万里生私、「大人っぽくなった✩︎」で双眼鏡覗いてんのなんか笑った。(かわいいね)あの距離で覗いたら逆に見えなくない?万里生私、捨てられた子犬みたいな表情するから彼もいじめがいありそう(愛)。ほんとかわいいね万里生私…。万里生私は執着とかじゃなくて突き詰めた愛って感じだった。公式キャッチコピーの「究極の愛」はほんと的を射てると思う。

 

・松山ペア

山崎彼、若さから来る全能感すごくて、でも脆さがあった。私のこと手玉に取るってよりは食われてたなぁという印象。山崎彼のアフレイド、声を荒らげるって感じじゃなくて死にたくないも叫ぶんじゃなくてうずくまりながら「死にたくない…ッ」ってクッて後悔してる感じ。悪い意味じゃなく小さい。自分のやったことに対して、いい子すぎたというか普通だったというか、本当に若さゆえの全能感で勢いでやってしまったんだな…。松山私はすっごく粘着質だった。成河私とはまた違った感じの執着……やっぱり粘着質って言葉の方があうかな。大きなおめめが爛々と?ギラギラと?光る感じ。「もう我慢できない」一番気持ち悪い大会あったら優勝。すべて褒め言葉です。

 

◆ ◆ ◆

途中公演中止などあったけど、その度トークショーを配信してくださったり、まさかの本編配信をしてくださったり、本当にありがとうございました。特に配信はびっくりした。できるんだ!って。アーカイブなしだし一般的には少しお値段するけど、ツイッターとか観測した限りかなりの人が見てくれたんだなって思ったし、チケット戦争に参戦するほどでもないけど、もしくはあんまり知らないけど見てみようかなって人もたくさんいたんだなって思った。そういう人には次回再演したらぜひ生で見てほしい。一緒にあのひりひりとした空間を共有したい。再演待ってます!

あと、何度でもいいますが、2021年版のCD待ってますので!ホリプロちゃん!!!

 

 

キレイなだけではいられない、舞台『フリー・コミティッド』再演感想

究極のソーシャルディスタンス!ということで急に再演が発表されたフリコミ再演見に行ってきました。
成河さん自ら開演前に舞台に出てきて前説をしてくださて、毎回そこでのちょっとしたお話しが楽しみでもありました。開演直前に出てきてしゃべるの、冷静に考えたらすごいな…メンタル。

『フリー・コミティッド』
作:ベッキー・モード
翻訳:常田景子
演出:千葉哲也
出演:成河
東京公演:2020年11月13日(金)〜 30日(月)
会場:DDD青山クロスシアター

«あらすじ»
俳優業の傍ら超人気店の予約係としても働くサム。出勤すると誰もいないオフィスで電話が鳴り響いていて…。いるはずの同僚も居らず、1人でひっきりなしに鳴る電話に出るサム。個性豊かなお客との電話、俳優業のオーディションの行方、次々とおこるハプニングに上司からの無茶な要求……めいっぱい!手一杯!なニューヨーク発スタンダップコメディ


初演の時も思ったけど、落語スタイルにプラスで動きを加えて様々な人を演じ分けているなと。
最初は「なるほどそういう感じで演じ分けるのね」って感じなんだけど、だんだん成河さんが1人で演じてるのを忘れて、普通にサムと電話の向こうの人との会話を楽しんでるんだよね。でも後からいやあれ全部成河さんじゃん…って改めて気付く。いやすごいなほんと。
表情とか喋り方から電話の向こうの人の容姿が浮かんできて、何人かのキャラクターに愛着(?)もわいてくる。これは私の勝手な想像だけど、ジェリーは茶髪のキザなイケメンだし、ジャンクロードは黒髪をワックスで撫でつけて固めてて黒髭のイケメン、キャロランローゼンシュタインフィッシュバーンは金髪ボブの赤メガネか銀縁メガネの神経質そうなおばさん。勝手な想像だけど、なんかそういう容姿が浮かんでくるんだよね。

初演の細かいところちゃんと覚えてないんだけど、なんか印象が変わったなと思った。
心情や通話相手に合わせたBGMあったっけ?分かりやすくなったなって思った。

今回見終わって思った感想は、キレイなままではいられないんだなってこと。キレイなままでは現状を抜け出せないのかな。謎の男からの賄賂を受け取ってからどこか魂が抜けたかのように「キレイではない」駆け引きをして自分に有利な状況を掴み取っていくサム。
「結局はコネ」というジェリーの言葉はサムの心に残ったと思うし、そんなサムが私の心に残った。最後これまで散々マウントをとってきたジェリーにマウント返しするところ、ヴィクトリーポイントなんだと思うけど、なんかちょっと悲しいというかなんて言えばいいのか分からないけど、寂しい?気持ちになるんだよね…。キレイなままではいられないし、キレイなままじゃ現状を脱せないってのはわかってるんだけど。それでもどこかキレイでいてほしいっていうのがどこかにあるのかもしれない……。

胸を張れないキレイでない行為だったとしても、それは現状から抜け出すには必要なことだったんだよね。
歌を歌うためにジャンクロードに“交渉”を持ちかけ、鼻歌を歌いながら胸に薔薇を刺し出て行くサムは、爽快なラスト!というよりは他人に使われる側からの脱却、自分のために道を切り開くしたたかさを身につけて現場を脱したエンドだったなと。

今回配信があったからラストにかかるレディイズアトランプが成河さんご自身で歌う音源でした!!その音源売りませんか…?ステージゲートさん…。

沼を察知し避けてきた『TRUMP』を遂に見た話〜はじめての繭期2020〜

※微妙に内容に触れてます

 

7/11 20時@YouTube

はじめての繭期2020  第一夜『TRUMP』(NU版)

 

ツイッターで繭期の話題は定期的に出てたから存在は知ってて、色んなおたくの阿鼻叫喚が聞こえてたからとにもかくにも地獄!!!って印象はあった。

私は地獄が好きなおたくなのでもちろん気になってはいたんだけど、何故か私の中の本能が近づくな!って危険を察知してたからこれまでなんとなく避けてきてたTRUMPシリーズ。いや、昔からこういう癖あって、沼の気配がして危機回避したけど結局ハマるパターン…あるある。結局ハマるなら早い方がいいんだよねほんとは…。

あえて避けてきてたのに、なんか今回のはじめての繭期は、ゆっくんさん出てるから見てみようかな…っていう気持ちがなんだか大きくなって見る方向に傾いて見てしまったわけです。たぶんコロナでの観劇不足やら刺激不足やら地獄不足やら色んな要因が合わさってのことだと思うんだけど、結果、見てよかった。

 

想像以上に地獄だったし拗らせクソデカ感情合戦だった……。最高。ウルとソフィ、クラウスとアレン、アンジェリコラファエロ……それぞそれがそれぞれの地獄を生成していたんだが。演出?構成?で凄いと思ったのが"アレン"の正体に気付かされるところ。ヒュッてなった。直接説明するんじゃなくて間接的に分らせてくるの良すぎか?

途中まで、ん???ってよく分からないひっかかりがあるセリフとか行動が多々あるんだけど、見終わって振り返ると意味が分かって更に死ぬ。TRUTHのDVD見たとき絶対に序盤から死ぬんだろうな。全てを知った上でウルのセリフ聞いたら泣いちゃうかもしれん。

 

見終わったことにより感想検索が(自分の中で)解禁されて、キャストが交代するREVERSEなるものがあると知り、躊躇なくポチった。せっかくだから配信で見たTRUTHも見返したいと思ってTRUTHもポチった。ポチった時点で絶対に上演順に見ていくことを決めました。わたしゃ先人の道を辿るよ…。新作の黑世界(まさかの上原理生くんキャスティングでTLの流れが爆速だった)が9月だから9月までに追いつきたい。いけるかな……。

とりあえずTRUMPの解釈が自分なりに固まったらハロオタの友人も激推しのLILIUMの円盤ポチります。7/15時点でどうやらREVERSEのDVDが予約販売になったみたいですね。みんな考えることは同じか。まああんなん見たら逆の役見たくなるに決まってるよな。

ガッツリネタバレの感想とか、各役への印象とかはDVD改めて見てからまとめたいな。

過去を清算する、舞台『相対的浮世絵』感想

『相対的浮世絵』(2019)@本多劇場

10/26ソワレと千秋楽の11/17に見に行きました。

 

(本人に悪気があるかないかは別として)笑顔で責められてるようなちくちくした空気感。見ていて胸が苦しくなるような、後ろめたい気持ちになるような…。玉置玲央さんの場の空気を一瞬で変える演技が素晴らしかった…。

 

1回目見た後、遠山と達朗はなぜ出てきたのかをずっと考えてて、過去を許されたい智朗たちの願望だったのか?と考えて。「オバケ」の彼等にすべて吐き出して謝って許されて救われて前へ進む話?とひとまず結論を出したんだけど、2回目を見て結論が変わりました。

 

「こちら側」にとっても「あちら側」にとっても過去を清算する話

 

というのが私の中の結論です。

生きてる2人は過去と向き合って謝ることで前に進むことができた。

死んでる2人は今度は2人が裏切らなかったことで成仏できるってことなんじゃないかな。

個人の解釈の話ですけど。

 

遠山と達朗が20年も「こっち」に来れなかったのは、それだけ「恨み」が強かったからってことだよね。達朗は卓球始めたばっかりで火事にあったからな〜(ニュアンス)って感じで比較的穏やかな言い方だったから若くして死んだ恨みというよりは未練の方が強く感じたけど、遠山は未練通り越して恨みを感じた。選手として試合に出るために必死で練習してやっと選ばれたのに…のシーンとかも未練もそうだけど怒りを感じたし、じわじわと滲み出る黒いオーラが見えた。

 

それにしても伊礼彼方、クズな役が似合いすぎる。

高校から卓球部に入ったのにさらっと選手に選ばれるとことか、みんなの憧れのマドンナとさらっと結婚するところとか、結婚してるのに会社の若い子に手出してしかも会社のお金不正に引き出させるとか。説得力があるよね、スクールカースト一軍感あるもんな…。笑

私伊礼さんのこと、アメリカ人の嫁の才能にのまれて浮気する夫とか、ニュージャージーのチンピラとか、パリの警部殿とかでしか見たことなくて、こういう等身大な日本人の役は初めてだったんだけど、普通の人の演技もよかったなぁ。野村さんに対する愛想笑いとか深夜の同窓会の時の苦笑いとか、リアルだったな。

 

石田明さん演じる関の聞かれてもないのに何度も「俺は逃げてない」アピールする感じ、辛すぎた。

心の奥では自分も友達を置いて逃げてしまったことは分かってるけど、それを認めたくないがために20年間ずっとそう自分に言い聞かせてきたんだろうなきっと。

 

冒頭にも書いたけど、玉置玲央さん演じる遠山がとにかく凄かった。場の空気を変える演技が凄い。さっきまでニコニコ喋ってたのにそのままシームレスに緊張感のある空気に変わったりして。私、「ちぐはぐ」が好きで、今回の舞台みたいな、笑顔で楽しそうな口調なのに内容が不穏だったりそういう違和感が刺さる(?)んですよね。それがとっても上手だった!駄目だ上手く言葉にできない…語彙力の敗北…。

 

山本亮太さん演じる達朗の圧倒的弟感。上でも書いたけど、達朗からはあんまりマイナスの感情を感じなかったというか、卓球もっとちゃんとやりたかったなーとか純粋な未練で、その先の「だから死にたくなかった!」みたいな怒りは感じなかった。20年かけて「恨み」を消してやっと「こっち」に出てくることができた、の説得力。良い子だなあ。でもきっとそのピュアな感じが1番お兄ちゃんを苦しめると思う。罪悪感を感じてる智朗にとっては責められない方がキツかったんだろうな。だから「ラケット振るな!」とか強く当たったんだろうな。自分のせいで弟が死んだって自覚があるから。

山本亮太さん、カテコ後ニコニコして客席に手を振ってはけていって、アイドル…!ってなりました。

 

山西惇さんはほんと安定。この本における野村さんの存在意義をもっと考えたいなと思った(けどまだ結論が出てない)。死んでしまった人間はそこで時間が止まってしまうけど、生きてる人間は変わり続けてしまうっていうことを強調する存在でもあったのかな?奥さんが再婚する〜のエピソードとかね。1番面白いのはやっぱり思い出話!とかね。「こっち」にいすぎてしまっても、そのギャップで「恨み」が発生してしまうかもしれない…。そういう意味でも遠山たちは帰ることにしたのかな。

 

本多劇場初めてだったんですけど、前方ブロックほぼ傾斜なくてびっくりした。ちなみに斜め前に男性が座った時は舞台下手はサウンドオンリーになりました。通路挟んで後ろは段差しっかりついてる感じだったかな?

異種格闘技とまではいかないけど、それぞれのフィールドから集まってきた5人のお芝居、面白かったです。